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2017.9月更新

Q5. こどもが吐いたら・下痢したら~家庭でできる経口補水療法~
質問

こどもが吐いたり下痢したり、また発熱して脱水の兆候があるときに、家庭でできる経口補水の仕方を教えてください。

回答

2017年版 小児急性胃腸炎診療ガイドラインが発刊されています。

このガイドラインではウィルス性胃腸炎罹患時の家庭での対応、特に経口補水療法について詳しく解説されています。
医療従事者であれば、(株)大塚製薬工場様よりお取り寄せが可能です。ぜひご一読ください。


尚、お薬手帳サイズに脱水時の経口補水療法をまとめています(PPT)。(↓クリックしてDLできます。要会員パスワード)

 



解説



このガイドラインは全17のCQ(クリニカルクエスチョン)から構成されている。一般的で教科書的な内容は省かれ、診療現場で判断に迷う部分を中心にエビデンスの内容が検討されて作成されている。

その中から抜粋して要点のみ記載する

Q1 軽症~中等度の脱水がある場合、経口補水療法が推奨されますか?
軽症~中等度の脱水がある場合の初期治療として、点滴よりも経口補水療法(ORT)が推奨されます。
またORTは、嘔吐や下痢の症状が始まったら、速やかに自宅で開始することが推奨されます
Q2 軽症~中等症の脱水がある場合、どのようにORSを飲ませたらいいですか?
すでに嘔吐や下痢で失われた水分(不足分)と同じ量を4時間以内にORSを飲ませて取り戻します。
その後、嘔吐や下痢のたびにORSを追加して飲ませて水分を維持します。
Q3 嘔吐している場合でもORSを飲ませた方がいいですか?
重症な他の病気などのサインがなければORSを飲ませてください。はじめはティースプーン1杯程度を5分ごとに飲ませ、嘔吐が治まってくれば、飲ませる間隔を徐々に短くしていくといいでしょう。少しくらい嘔吐しても、我慢強く続けて大丈夫です。
Q4 どうしてもORSを嫌がる場合、代わりにORS以外の飲料を飲ませていいですか?
明らかな脱水所見がなければ、ORS以外の飲料でもかまいません(ただし、塩分を含んでいない炭酸飲料や果物ジュースはダメ。脱水状態が悪化する)塩分を含んだ重湯、おかゆ、野菜スープ、チキンスープなどで代替してもいいでしょう。ただし脱水兆候や重症のサインがあらわれた場合は、速やかに小児科を受診してください。
Q5 母乳栄養は継続しても大丈夫ですか?
むしろ積極的に母乳栄養を継続すべきです。母乳は、栄養補給だけでなく脱水を補正する効果もあるので、中断すべきではありません。ORSで脱水補正中でも母乳を併用した方が、重症脱水が少ないことが確認されています。母乳継続は安全であり、乳幼児の下痢の治療、栄養改善に効果があります。
Q6 ミルクや食事を早期に開始していいですか?
ORSを飲ませて脱水状態が改善したら(顔色・機嫌がよくなったら)ミルクや食事はすぐに開始して大丈夫です。食事の内容もお粥などではなく、年齢に応じた通常の食事で構いません。食事制限をしても治るまでの期間に変わりはなく、むしろ体重の回復を遅らせる可能性があります。
Q7 ミルクは薄めた方がいいですか?
ORSで脱水状態が改善した後にミルクを始めることになりますが、ミルクを薄める必要はありません。いつもどおりのミルクを飲ませてください。
Q8 不適切な食べ物はありますか?
科学的根拠は十分ではありませんが、高脂肪の食事や糖分の高い飲料は避ける方が良いでしょう
Q9 乳糖除去乳は有効ですか?
乳糖除去乳(乳糖(ラクトース)除去されたミルク)の有効性は確認されていますが、低栄養状態、重症脱水症の場合以外は利点が少ないため、コストと効果のバランスを考慮すると、急性胃腸炎の小児に最初から使用する必要はありません。
Q10 ロタウィルスワクチンは有効ですか?
  乳児に多いロタウィルスのワクチン効果は世界的に認められており、WHOは積極的な接種を推奨しています。かかりつけの小児科の先生によく相談してください。